juraian’s blog

東アジア史、ナショナリズム、反日言説に関する個人研究

東アジアエンタメ史 映画⑤

日韓映画のリメイク合戦

 韓国映画は昔から日本モノからアイディアやストーリーをパクったりしていたらしいが、正式に版権を買って製作したのは浅田次郎の「ラブレター」に依拠した「白蘭」(2001)が最初である。土屋ガロンの原作に依拠した「オールドボーイ」(2003)は、2004年カンヌ映画祭で審査委員長大賞を受賞した。日本ドラマをリメイクした「私の頭の中の消しゴム」(2005)は、2007年に日本で深田恭子・及川光博主演のドラマにリメイクし返されるという経緯を辿った。

 

日本原作・リメイクの韓国映画

宋海星監督「파이란(白蘭)」2001←浅田次郎著「ラブレター」1996

朴贊郁監督「올드보이」2003←土屋ガロン著「オールドボーイ」1996-98

李宰漢監督「내 머리 속의 지우개」2005←日テレ系「Pure Soul~君が僕を忘れても~」2001

정윤수監督「파랑주의보」2006←片山恭一著「世界の中心で、愛をさけぶ」2001

최종태監督「플라이 대디」2006←金城一紀著「フライ・ダディ・フライ」2003

李澈河監督「사랑따윈 필요없어」2006←TBS系「愛なんていらねえよ、夏」2002

김용화監督「미녀는 괴로워」2006←鈴木由美子著「カンナさん大成功です!」1997-99

김상찬・김현수監督「복면달호」2007←滝田洋二郎監督「シャ乱Qの演歌の花道」1997

이언희監督「어깨너머의 연인」←唯川恵著「肩越しの恋人」2001

라희찬監督「바르게 살자」2007←都井邦彦著「遊びの時間は終わらない」1985

신태라監督「검은 집」2007←貴志祐介著「黒い家」1997

김상진監督「권순분 여사 납치사건」2007←天藤真著「大誘拐」1978

박신우監督「백야행: 하얀 어둠 속을 걷다」2009←東野圭吾著「白夜行」2000

方銀振監督「용의자X」2012←東野圭吾著「容疑者Xの献身」2005

이정호監督「방황하는 칼날」2014←東野圭吾著「さまよう刃」2004

이계벽監督「럭키」2016←内田けんじ監督「鍵泥棒のメソッド」2013

노동석監督「골든 슬럼버」2018←伊坂幸太郎著「ゴールデンスランバー」2007

林順禮監督「리틀 포레스트」2018←五十嵐大介著「リトル・フォレスト」2002-05

이장훈監督「지금 만나러 갑니다」2018←市川拓司著「いま、会いにゆきます」2003

金知雲監督「인랑」2018←押井守原作・沖浦啓之監督「人狼 JIN-ROH」2000

映画「美女はつらいの」ポスター

 2006〜07年には日本原作・リメイクの韓国映画が続々と公開された。特に鈴木由美子の漫画「カンナさん大成功です!」を原作とした2006年の「미녀는 괴로워(美女はつらいの)」は600万人を動員する大ヒットとなり、TVドラマ「白い巨塔」の成功と合わせて「日流ブームの襲来だ!」と騒がれた。新聞は裴勇俊のようなスターを押し立てた派手で騒々しい韓流に対し、いつの間にか韓国のエンターテインメント産業に深く食い込んだ日流の不気味さを強調した。

 

https://www.imaeil.com/page/view/2007020816194878467

만화와 일본 열풍 [매일신문 2007-02-08]    

지금 우리 대중문화시장을 살펴보면 가랑비에 옷 젖는줄 모르다가 물에 빠진 생쥐꼴이 된 형국이다. 4차에걸친 일본문화 개방에도 별다른 충격파가 없었던 시장이었지만 어느샌가 일본문화가 아예 우리를 에워싸고있다. 만화, 소설, 음악, 영화, 드라마까지 장르불문이다. 겉포장만 요란하게 떠들었던 일본 속 '한류'와는 그 차원이 다르다. 우리가 '겨울연가'의 호평에 취해 잠시 정신을 잃고 있는 사이 '일류'는 조용하면서도 깊숙히 우리 안을 파고들었다.

今のわが大衆文化市場を眺めれば、小雨に服濡れるとは思わなかったのに水におぼれたネズミの体たらくになってしまった。4次にわたる日本文化開放でも別に衝撃波がなかった市場だったが、いつの間にか日本文化がわれわれを包囲している。漫画・小説・音楽・映画・ドラマまでジャンル不問だ。上包装だけ騒騒しく騒いだ日本内の「韓流」とは次元が違う。われわれが「冬のソナタ」の好評に酔って有頂天になっている間に、「日流」は静かながらも深くわが国に食い込んでいたのだ。

 

https://m.entertain.naver.com/home/article/076/0000053237

[소리없이 日문화가 몰려온다] 한국 대중문화 속 '일류' [스포츠조선 2007-02-15]

한류 속에 일류가 휘몰아치고 있다. 한류가 특정 배우 중심의 인기몰이에 머문 반면, 일류는 소리없이 다가와 적을 처치하는 '닌자'처럼 우리문화 저변을 점령하고 있다. 가히 '일류의 역습'이다.

韓流の下で日流が吹き荒れている。韓流が特定俳優中心の人気集めにとどまる反面、日流は音もなく近づいて敵を片付ける「忍者」のように韓国の文化底辺を占領している。まさに「日流の逆襲」だ。

 

https://n.news.naver.com/mnews/article/009/0000562125?sid=110

[데스크진단] 닌자처럼 다가온 日流 [매일경제 2007-01-30]  

눈치 챘는가. 일본 문화가 닌자(忍者)처럼 소리 없이 우리 등 뒤에 다가서 있는 것을. 알고 있는가. 우리 자신도 모르는 사이일본 문화의 착착 감기는 맛에 빠져들고 있는 것을.……한류 붐은 온나라를 떠들썩하게 했다. 그러나 일류는 발자국 소리도들리지 않았다. 그토록 조용히 우리 곁에 다가왔다.

気づいているか。日本文化が忍者のように音もなくわれ我の背後に忍び寄っていることを。知っているか。われわれ自身も知らぬ間に日本文化の癖になる味にハマってしまっていることを。……韓流ブームは国中を賑わせた。しかし日流は足音も聞こえなかった。それほど静かにわれわれのそばに忍び寄って来た。

 

 2010年代には東野圭吾のミステリーが大人気で、「白夜行」「容疑者Xの献身」「さまよう刃」が次々と映画化された。2016〜18年には再び日本ドラマ・映画のリメイクブームが起き、「鍵泥棒のメソッド」をリメイクした「럭키(LUCK-KEY ラッキー)」は698万人を動員した。土井裕泰監督、竹内結子・中村獅童主演の「いま、会いにゆきます」が2005年に韓国で公開された時の観客は17万人にすぎなかったが、リメイク版の「지금 만나러 갑니다」(2018)は260万人を動員するヒット作になった。金知雲監督「인랑(人狼)」はアニメ映画「人狼 JIN-ROH」の実写リメイク版だが、原作を担当した押井守監督が絶賛した。

 

https://japanese.joins.com/JArticle/243522?sectcode=730&servcode=700

韓国映画『人狼』の原作者、「日本ではこのような映画は作れない」 [中央日報 2018-07-27]

 原作漫画だけでなくアニメーション『人狼 JIN−ROH』の製作総括を担当した押井守監督が最近『人狼』を見て、「色々考えさせられる非常に力のある作品だ」と評価した。……特に「日本ではこのような映画は作れない。ハリウッドのような撮影所に驚いた。これだけのアクションシーンを撮るのも難しい。描くのも着るのも大変な強化服を着てアクション演技をすることに驚いたし、ポイントの真っ赤な目も完璧に実現された」と絶賛した。

 

 逆に日本が韓国映画をリメイクしたのは2005年の「8月のクリスマス」が最初である。原作となった許秦豪監督の「8월의 크리스마스」(1998)は、釜山やシカゴやバンクーバーやシンガポールなど比較的マイナーな映画祭の賞を山ほど獲って評価が高かった。黃東赫監督「수상한 그녀(怪しい彼女)」は日本版だけでなく、中国版「重返20岁」(2015)を皮切りにベトナム版、タイ版、インドネシア版、フィリピン版、インド版、メキシコ版が続々と作られるキラーコンテンツになった。

 

韓国原作・リメイクの日本映画

長崎俊一監督「8月のクリスマス」2005←許秦豪監督「8월의 크리스마스」1998

水田伸生監督「あやしい彼女」2016←黃東赫監督「수상한 그녀」2014

入江悠「22年目の告白 -私が殺人犯です-」2017←정병길監督「내가 살인범이다」2012

大根仁監督「SUNNY 強い気持ち・強い愛」2018←강형철監督「써니 」2011

藤井道人監督「最後まで行く」2023←김성훈監督「끝까지 간다」2014

映画「怪しい彼女」ポスター